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翌朝、僕は倦怠感にくるまれて目を覚ました。

それはちょうど海水浴のあとの昼下がりと似ていて、僕の体はまだどこかフワフワと海の上に浮かんでいるような気がした。

半身を起こし、カーテンの隙間から差し込む朝日に眼を細める。

「おはよ」

入り口近くにあるユニットバスの扉からシロナがヒョイと顔を出した。どうやら先に起きていたらしい。

「おはよう」と僕が答えると、シロナは声を立てて笑った。

「何?」

「すごい頭」

「ああ」

僕は爆発した髪の毛を掻きむしり、もう一度ベッドの上にひっくり返った。

漆喰で塗り固められた天井を見つめながら、昨夜のことを考える。

艶やかな髪やくびれた腰つき、濡れた唇から漏れる吐息……

今でもよく分からない。シロナは早紀じゃない。きっと違う。あれは幻だったのだろうか。

それとも、僕は本当にシロナを抱いたのだろうか。