とにかくすべてがそんな調子だった。

すべてが惰性と倦怠の中で泡つぶのように流れていく。

僕はその気泡をただじっと海の底から眺めている。

耳を澄まし、見えるはずもない淡く揺れる水面を、ただじっと。

クジラの歌声が聞こえる。

早紀の声が聞こえる。

部屋の重力が反転する。

魂が空に浮かぶ。

そしてまた、僕は眠る。

朝が来る。

歌を聴く。

僕はまだ生きている。



この十年とはつまり、僕にとってそういう十年だった。

意味があるのか、ないのか、そもそも意味を問うことすら馬鹿らしいような蒼一色の海の底を、僕は黙々と泳ぎ続けていた。