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それから僕は、どうやって日本に帰ってきたのかあまり覚えていない。

ただ気がつけば、僕はいつの間にか僕の部屋にいて、「彼女」から送られてきた十枚の絵はがきを見つめていた。

「シロナ……」

僕は最後に送られてきた絵はがきにそっと指で触れてみた。

返事はない。

彼女とは、ジェシカの庭園で言葉を交わしたきり会っていなかった。

言い知れぬ喪失感に苛まれた。

会いたかった。

ただ無性に会いたかった。

僕にとって、いつしかシロナはかけがえのない存在になっていた。