――まただ。

また今日も始まるんだ。


十年前、僕はもがき、呻き声を上げながら、自分の弱さを呪い、僕から早紀を奪っていったあの男を死ぬほど憎んだ。

早紀、早紀、早紀……

何度も何度もノートに愛する姉の名を刻むたびに、僕の呼吸は乱れ、激しい嫉妬と狂気が僕の脳髄を侵していった。

「やめろ……」

止めろ、

やめろ、

ヤメロォォォォ!!!

僕は大声で叫び、男に殴りかかった。

男はニヤリと微笑んだ。

その残忍でどす黒い瞳の奥に、股間を勃起させた僕の情けない姿が映った。

その瞬間、一気に視界が弾け飛んだ。