そうしてひとしきりヨークの街を歩いた僕たちは、最後にクリフォードタワーと呼ばれる城郭に登った。
城郭と言っても、小高い盛土の上に二階建てほどの高さしかない円形の石造塔がただ乗っかっているだけで、塔の直径はせいぜい十数メートルしかない。
恐らく古跡の一つに違いないが、ロンドン塔と比べるまでもなくこぢんまりとしたシロモノだった。
それでも、塔の上からはヨークの街を一望することができた。
視線を山あいに向けると、少し西に傾いた太陽が、青く霞む遠くの山々を時折帯状に照らしていた。
手前の草原では数匹の羊が草をはみ、牧場を囲む白い柵の足元には、見覚えのある薄紅色の花が風に揺れていた。
「……ヒース」
僕は思わず呟いた。
途端に軽い目眩に襲われた。
突然視界が歪んだかと思うと、つんざくような耳鳴りに貫かれた。
「ちょっと??」
僕の右肩からシロナの慌てたような声が聞こえたのを最後に、僕はその場に蹲った。
城郭と言っても、小高い盛土の上に二階建てほどの高さしかない円形の石造塔がただ乗っかっているだけで、塔の直径はせいぜい十数メートルしかない。
恐らく古跡の一つに違いないが、ロンドン塔と比べるまでもなくこぢんまりとしたシロモノだった。
それでも、塔の上からはヨークの街を一望することができた。
視線を山あいに向けると、少し西に傾いた太陽が、青く霞む遠くの山々を時折帯状に照らしていた。
手前の草原では数匹の羊が草をはみ、牧場を囲む白い柵の足元には、見覚えのある薄紅色の花が風に揺れていた。
「……ヒース」
僕は思わず呟いた。
途端に軽い目眩に襲われた。
突然視界が歪んだかと思うと、つんざくような耳鳴りに貫かれた。
「ちょっと??」
僕の右肩からシロナの慌てたような声が聞こえたのを最後に、僕はその場に蹲った。



