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列車がゆっくりと速度を落とすと、僕たちはどちらからともなく席を立ち、駅のホームに降り立った。

古都・ヨーク

キングスクロス駅より二回りほど小さい構内の改札をあとにすると、すぐ目の前に中世さながらの街並みが広がっていた。

古城、

北欧風の木骨造りの家並み、

石畳の街路、

瑞々しい芝生、

それらを人の背丈ほどの低い城壁がグルリと取り囲んでいた。

「素敵な街!」

開口一番、シロナが目を輝かせて言った。

「歩こうか」

僕はそのまるで中世の箱庭のような景色をひとしきり眺め、シロナの手を取って街の中心へと歩き出した。