「これが送り主の住所と名前よ」

そう言って老婦人が差し出した紙を、僕は息を殺して受け取った。

「日本人じゃないわ」

真っ先に送り主を見たシロナが言った。

『ジェシカ・アシュレイ』

女性の名前には違いなかったが、そこに書かれた送り主の名は、早紀でもなければ日本人ですらなかった。

「どういうことかしら」

「最初に花をくれたのは、確かに若い日本人だったんですよね?」

「ええ。それは確かよ」

僕がもう一度老婦人に尋ねると、婦人はハッキリと頷いた。

「おかしいでしょ?私もずっと気にはなっていましたの」

「その日本人女性が宿泊したのは、だいたいどのくらい前のことですか?」

「そうねえ……」

老婦人はしばらく考え込み、それからふと何かを思い出したように手を叩いた。