だから、人はコンパスを持っている。

自分のコンパス。

方位磁針。

手のひらに載る大きさで、北と南をキチンと指す、小学校の理科の時間なんかで時々登場したりするアレだ。

道に迷ったとき、何かを見失ったとき、誰もがコンパスを空にかざし、自分の現在位置を地図に落とす。

自分が今どこにいるのか、どこに向かおうとしているのか、向かうべきなのか。

考え、悩み、そしてまた歩き始める。



だけど。

僕の心のコンパスは、あの日を境に壊れたままだ。