犯人はバンドのギターを担当していた男。

ボーカルの女性がドラム担当の男性メンバーと恋仲になった事への嫉妬心が犯行の動機だった。

ちなみに嫉妬の刃が女性に向けられた理由は犯人が同性愛者だったからというオチがついてたそうだが。

「失礼します」

ウェイトレスが注文した品を運んできた。

注文を取りにきたウェイトレスとは別の人だった。

しかしちゃんとあたしの前にアメリカン、達郎兄ちゃんの前にパフェを置いた。

「達郎兄ちゃん、いつもこの店でパフェ食べてるでしょ」

「ここのパフェ、値段の割に量が多くてな」

別にそんなことは訊いてない。

ただウェイトレスの動作はあまりにも自然だった。

「もったいないよね」

あたしはスプーン片手にパフェに挑みかかる達郎兄ちゃんの顔を見つめた。

品のいい顔だちに、どこか憂いを含んだ瞳。

細身だけど、黒スーツがよく似合う。

身内のあたしから見ても平均以上のイケ面だと思う。