はぁそうですか。

まったく、昨日泣き明かしたのはなんだったのよ。あたしの涙を返して。

「さてと」

達郎兄ちゃんがベンチから立ち上がった。

「オレ帰るわ」

「うん。ありがと、達郎兄ちゃん」

なんだかんだ言って事件(?)を解決してくれたのだ。お礼ぐらいは言っとかないと。

「カホ、ちゃんと返事してやれよ」

「う、うん…」

「なんだ、どうした?」

正直、あたしはなんと言って返事をしたらいいかわからなかった。

自慢じゃないがあたしは男の子と付き合ったことがない。

告白されたのだって生まれて初めての経験だった。

あたしは笑われるのを覚悟でそれを打ち明けた。

「そうか」

達郎兄ちゃんは笑ったりしなかった。

すごく優しい顔であたしの話を聞いてくれた。

「カホ、いいことを教えてやる」

「なに?」

「湯月くんは【月】が、カホは旭だから【太陽】が名前にある」

「うん」

「月と太陽はな、すごく相性がいいんだ」