「だからって」

「なんだ、彼には興味ないのか」

意地悪な笑みがまた浮かんだ。

「まぁあの体格じゃカホの好きなブアカーオにはほど遠いからな」

「そんなこと言ってないじゃない」

「じゃ真剣に考えて返事をしてやれ」

達郎兄ちゃんの顔から、意地の悪い笑みが消えた。

「あれだけカホの事を好いてくれる奴はいないと思うぞ」

…。

「なんせオレとカホの中を誤解して水風船を投げつけたぐらいだからな」

「え、じゃ昨日のは」

「そう、湯月くんだ。前日にオレとカホが公園で一緒にいるのを見かけてな」

翌日もあたしたちが一緒に歩いてるのを、自宅マンションの部屋から見た湯月くんは完全に誤解し、ついあんなマネをしてしまったらしい。

そういや湯月くん、夏にレク部の活動で幼稚園を訪問した時、水風船で子供たちと遊んでたっけ。

「オレらの足もと狙ったのにコントロール誤ってカホに直撃した時は、心臓が止まるかと思ったそうだ」