授業を終えた達郎兄ちゃんは、あたしを連れて1階にあるレストランへ入った。

席につくと、ウェイトレスが注文を取りにきた。

「アメリカン」

「チョコパフェ」

念のため言っておくが、パフェを頼んだのは達郎兄ちゃんである。

ブラックコーヒーやアルコール類は匂いを嗅いだだけでもダメという超のつく甘党なのだ。

あたしは本題に入る前にふと頭に浮かんだ事を訊いてみる事にした。

「ねぇ、達郎兄ちゃんて探偵だよね?」

「自覚はないな。父さんと兄さんの仕事を手伝ってるだけだから」

「達郎兄ちゃんの場合は探偵って呼ばれると思うよ」

達郎兄ちゃんのお父さん、つまりあたしの叔父さんは警察のトップである警視総監。

お兄さんも警視正として某警察署の署長をしている。

達郎兄ちゃんはその身内として、民間協力員という立場で数々の事件を解決していた。

先月もバンドのボーカルをしていた女性が刺殺された事件を、1枚の写真から解決したのだ。