「頭うたなくて良かったね」
保健室にて。保健の先生が不在だったので、保健委員の幸子が手当てをしてくれた。
手当てと言っても左手をひねっただけなので、湿布と包帯だけで済んだ。
階段から落ちたとはいえ高さがなかったのが幸いした。
「しかし腹たつよね、うちの男子のバカ共には」
幸子が怒りきれないといった口調で言う。
「ふざけあったはずみで人の背中押すなっていうの」
果たしてそうだろうか。
あたしの脳裏には『死ねお前は』という文面が浮かんでいた。
さっきの出来事が誰かに仕組まれたものだとしたら。
どさくさにまぎれて誰かがあたしの背中を押したとしたら…。
「どうしたの果穂里」
幸子があたしの顔をのぞきこんでいた。
「ううん、別になんでもない」
「大丈夫?顔色悪いよ」
「平気だって」
幸子にだけは心配かけたくない。
「平気平気。ほらもうこんなに元気♪」
あたしは努めて明るく振る舞った。
保健室にて。保健の先生が不在だったので、保健委員の幸子が手当てをしてくれた。
手当てと言っても左手をひねっただけなので、湿布と包帯だけで済んだ。
階段から落ちたとはいえ高さがなかったのが幸いした。
「しかし腹たつよね、うちの男子のバカ共には」
幸子が怒りきれないといった口調で言う。
「ふざけあったはずみで人の背中押すなっていうの」
果たしてそうだろうか。
あたしの脳裏には『死ねお前は』という文面が浮かんでいた。
さっきの出来事が誰かに仕組まれたものだとしたら。
どさくさにまぎれて誰かがあたしの背中を押したとしたら…。
「どうしたの果穂里」
幸子があたしの顔をのぞきこんでいた。
「ううん、別になんでもない」
「大丈夫?顔色悪いよ」
「平気だって」
幸子にだけは心配かけたくない。
「平気平気。ほらもうこんなに元気♪」
あたしは努めて明るく振る舞った。


