「まぁオレは未だに学生なんかやってるからな。だから余計しつけに厳しいんだと思う」

「ふーん」

確かに正月に会った時、麻砂お婆ちゃんは超やさしかった。

たぶん達郎兄ちゃんが言ってることは本当だろう。

あたしからしてみれば、海外留学してから大学に入り直すなんてスゴい事だと思うけど。

しかも探偵として警察にその名を轟かせてるなんて。

でも麻砂お婆ちゃんにはお婆ちゃんの考え方があるんだろうな。

「ねぇたぶん…」

言いかけて、あわてて口をつぐんだ。

あたしが言おうとしたのは、お婆ちゃんは達郎兄ちゃんのお母さん代わりになろうとしてるんじゃないかって事。

今は詳しく言えないけど亡くなった達郎兄ちゃんのお母さんの事はナイーヴな問題なのだ。

「どうした、カホ」

「ううん、なんでも」

そうこうしてる間に家に着いた。

たい焼きは2匹ともすでに、あたしたちのお腹に収まっていた。