あたしは教室を見回した。いつの間にか昼休みになっていたらしい。

「ごめんごめん」

昼はいつも幸子と一緒にお弁当を食べるのがあたしの日課だ。

「今日はお弁当どこで食べる?」

「屋上にしようか。天気いいし」

「OK」

あたしは手紙をしまうと席を立った。

「ところで果穂里なにやってたの?」

「ん、なんでもない」

あたしは手紙の事をすっとぼけてみせた。

幸子とは3年間の付き合いだけど、手紙の事は言ってない。

知られたくない事は知らせなくてもいい。

「旭さん」

お弁当を持って廊下に出た時、隣のクラスの湯月くんに呼びとめられた。

湯月くんはあたしが所属していたレクリエーション部の部員で、眼鏡と栗毛がトレードマークの副部長だ。

「さっき顧問の杉浦先生に言われたんだけど、役員の引き継ぎ来週にやるんだって」

「そう。分かった」

「じゃ、伝えたから」