ここで補足説明をしておこう。

ジジイ……もとい、祖父ランド=スウェルの職業は、アクセサリーやネックレス等の宝飾品の職人だ。

街の最北端、バリケード近くの鉱山区で発掘された鉱石なんかを仕入れ、専用のブレードで適切なサイズにカットして、チェーンを付けて、週一でやって来る宝石商に売っている。

宝飾品はカルガンチュア貴族のたしなみと言われているのだ。

貧富の差が激しく、フライヤーが貴族の八割を占めるカルガンチュアでは、ジジイの作る翼を模したアクセサリーは飛ぶように売れているらしい。

ただ、売られる値段に比べ、足元を見られ遥かに安値で買いたたかれているようだった。

一度、街市場で値段を見てジジイに言ってやった事もあったが、「儂の作品は値段では推し量れんものだ」と相手にされなかった。

ぼくが¢(セント)・オーブル高学院を無事卒業できたのも、ジジイが安値ながら確実にアクセサリーを売って金を貯めていてくれたからだ。

感謝は、してる。

面と向かって礼を言うには、まだ時間がかかりそうだけど。


閑話休題。


ぼくは、そのジジイが床板に叩きつけられるところを見ている。