「ん?」
凍りついた彼女の視線を辿ると、ああ、なる程。僕にも理解できた。
左手が、もにゅんと弾力のある物体を掴んでいたのだから。
おでこ女と視線がかち合う。一瞬の沈黙。後、
「ど、どどどどこを触ってるのよこの変態!畜生!離せ、離せぇ!」
顔を真っ赤にしながら全力で暴れ始めた。
「うわっ!バカ、暴れんな!ごめん、わかった離す、離すから!」
「ぇ?―――ひゃっ、は、離すな!落ちるだろぉー!」
もう言ってることが滅茶苦茶だ。
四肢をブンブン振り回し、駄々っ子のように暴れる彼女からは、先程の冷酷なまでの殺意は感じられない。
というよりも、まるで別人だ。
「あんた、さっき天の使いがどうとか言ってただろ!?上位種だってんなら自分の羽根で飛びやがれ!」
「駄目なのよ!私にはもう―――」
ガクン。
「え―――」
再び体全体で感じる重力。万有引力。地に引かれる体。
まだ地上は遙か下だというのに……右手の翼(希望)は消滅した。
図らずも持ってしまった生への願望を、今一度捨てることなど、僕にはとても出来なかった。
「ひっ……」
腕の中のおでこ女が、また息を呑む声が聞こえた。
思わず彼女を抱く左腕にグッと力を入れるものの、奇跡は二度は起こらない。
「くっ……そおぉぉぉ!!」
再び死が、白色の死が、僕の目の前に迫ってくる。
凍りついた彼女の視線を辿ると、ああ、なる程。僕にも理解できた。
左手が、もにゅんと弾力のある物体を掴んでいたのだから。
おでこ女と視線がかち合う。一瞬の沈黙。後、
「ど、どどどどこを触ってるのよこの変態!畜生!離せ、離せぇ!」
顔を真っ赤にしながら全力で暴れ始めた。
「うわっ!バカ、暴れんな!ごめん、わかった離す、離すから!」
「ぇ?―――ひゃっ、は、離すな!落ちるだろぉー!」
もう言ってることが滅茶苦茶だ。
四肢をブンブン振り回し、駄々っ子のように暴れる彼女からは、先程の冷酷なまでの殺意は感じられない。
というよりも、まるで別人だ。
「あんた、さっき天の使いがどうとか言ってただろ!?上位種だってんなら自分の羽根で飛びやがれ!」
「駄目なのよ!私にはもう―――」
ガクン。
「え―――」
再び体全体で感じる重力。万有引力。地に引かれる体。
まだ地上は遙か下だというのに……右手の翼(希望)は消滅した。
図らずも持ってしまった生への願望を、今一度捨てることなど、僕にはとても出来なかった。
「ひっ……」
腕の中のおでこ女が、また息を呑む声が聞こえた。
思わず彼女を抱く左腕にグッと力を入れるものの、奇跡は二度は起こらない。
「くっ……そおぉぉぉ!!」
再び死が、白色の死が、僕の目の前に迫ってくる。

