「は!?いる訳ないじゃん!こんなブスオタクに!!」




と返事しながら直美から目をそらすと、真実を知っている梨花の不安そうな顔が見える。


さりげなく梨花の隣に行くと、早速小声で話しかけてきた。





『杏・・・嘘つくの上手いね・・・』

『いや・・・このくらい常識だって。』




梨花達三人と離れ、家に帰ったら、思わず二度目の溜め息が出た。
そして、思わず本音をつぶやく。





「伊藤・・・学校来い・・・。」





そう。私には彼氏がいる。



くるくるの天然パーマに細っこい目。

すごく低くてボソボソした聞き取りにくい声と長身。




決して「格好いい」とは言えない・・・でもなぜかそこそこ人気がある・・・らしい。






伊藤悠基。






私の彼氏・・・そして私の学年でただ一人の引きこもりだ。