オモチャ

ゆっくり、ゆっくりと顔を上げると、目の前には少女が居た。


「お、おうっ…!」


俺が挨拶をすると、少女は驚いたようにその目を見開いた。


「おっちゃん、うちの事見えるん?」


消え入りそうな声だった。


「当たり前や。そら、見えとらんかったら、誰も挨拶なんかせぇへんやろ」

「そうやね」


少女は楽しそうに笑った。