「つーか、何でお前も名前で呼ばねーんだよ」

「えっ?」

「いつも名字ばっかで、俺のことを名前で呼んでくれたことなんて、1度もねーだろ」

あ…そう言えば。

「好きなヤツの名前くらい覚えろ」

あーあ、すねてるよ。

でも、ちょっと恥ずかしい。

ずっと名字で呼んでたからなあ。

紅くなりそうな頬を感じながら、
「雄平」

勇気を出して、呼んだ。

「何だ、言えるんじゃん」

「ちょっと…!

呼べって言ったのは、あんたでしょ!」

「そう怒るな。

俺がここへ連れてきたのには、理由があるんだから」

そう言われて、黙った。

私が黙ったのを確認すると、五十嵐は
「社長命令だ」
と言い、私を見た。

「俺と、結婚しろ」

その言葉に、涙があふれた。

いい…の?