その日の夜。

「ちょっとつきあって欲しいところがある」

仕事が終わった時、五十嵐にそう言われた。

「どこに?」

私が聞くと、五十嵐はニヤッと口角をあげた。

余裕しゃくしゃくとでも言いたいくらいの笑み。

前よりも、嫌ではない。

むしろ、好きだと思う。


夜の街を車で走り、ついたところ。

車を下りた瞬間、潮風が髪をくすぐった。

「ここ…!?」

「ああ、そうだ」

この前きた、海だった。

昼間とは違う、海の様子。

満月が、海の表面を明るく照らしていた。

照らされて、キラキラ輝く海。

それはまるで、宝石のようだった。

しばらく見ていたら、五十嵐が隣にきた。