「ここ…?」

「ああ、海だ」

海を見つめながら、五十嵐が言った。

青い宝石を思い出させるかのような、大きな海。

どうして、ここに?

「みどりとの思い出の場所だからだよ」

私の心を見抜いたかのような言葉。

驚いて五十嵐に視線を向けると…目が合った。

「聞いたんだろ、みどりのこと」

私は、うなずく。

五十嵐はため息をつくと、
「俺が、お前をみどりの代わりとして抱いてると思ったのか?」

「…えっ?」

言っている意味が、わかんなかった。

「俺はお前を、みどりだって思ったことは1度もない」

真剣な顔をして言う五十嵐。

「でも…似てるんでしょ?

私は、みどりさんに似てるんでしょ?」

五十嵐は、うつむいた。