生演奏のジャズが店内に流れる、おしゃれなバー。

色とりどりの小さな宝石を散りばめたような夜景をバックに、オーケストラが演奏している。

ここにくるお客は、みんな“セレブ”と言う言葉が似合う人たちばかり。

そのバーで、私は働いている。

って言っても、バイトで。

カウンターでグラス磨きをしながら、私はジャズを聞いていた。

曲名はわからないけど、どれもいい曲。

まさに、大人っぽい。

そう言っている私も、20歳過ぎた大人なんですけどね。

けど、私を含めるこの場にいる全員は、引き込まれるように聞き入っている。

ついつい、今やっている自分の作業を忘れて、メロディーに酔ってしまいそうになる。

その時だった。