「じゃあ、俺がキスしちゃえば良かったな。いっぱいチャンスあったのに」 冗談のつもりで言ったのに、 花帆は真剣な顔で俺を見つめた。 俺、本気で思った。 キスしてたら何かが変わってたかなって。 「今からでも遅くないかな」 花帆の横顔は、あの頃のままだった。 薄い化粧にサラサラの髪。 「……うん」 うん、なんて言うから。 公園の明かりに照らされた花帆が、じっと俺を見つめるから。