「知ってるか?お前」
隣の席の友達が俺の耳元で小さな声で言った。
「前に座ってるヤツ、お前のこと好きだったんだぞ」
俺は兄貴に比べて、とりえもなく、自分に自信もない。
兄貴はずっとモテモテで、かっこよくて、俺はそれが嬉しいような悔しいような複雑な気持ちだったんだ。
モテるのは兄貴って思ってた。
でも・・・・・・
俺のこと好きだった子も結構いたんだ。
見えていなかった。
俺は・・・・・・
花帆の気持ちだけでなく、
誰の気持ちもつかめていなかった。
本当に子供だった。
いろんな後悔が、酒のせいでどんどん大きくなっていた。

