―ピンポンピンポンピンポン!!! 誰だ? 俺の部屋のチャイムを連打する。 あぁ、きっとあの女。 「何回も鳴らすな。うるさい女だな」 ドアを開けると、勝手に部屋に入ってきた。 義理の兄弟になるとは言え、男と女だぞ。 平気で俺の部屋でくつろぐ奈美は、変わり者だ。 それとも俺に気があるのか? 普段の俺なら、口説いてしまったかも知れないけど、今夜はそんな気分じゃない。 兄貴の結婚式を見ていて、もうこんな自分が嫌になった。 適当な恋愛を何度しても満たされない。 もう、軽い恋はいらない。