俺は花帆が好きだった。 大事にしているつもりだった。 でも、花帆は俺を信じていなかったんじゃないか。 だから・・・・・・ひとりで悩みを抱え込んでいたんじゃないかって。 あの頃の俺は、まだガキで。 人の心の中に、誰にも見えない感情があることを知らなかった。 俺に言わないことが花帆の愛情だったんだってことに気付いたのは、 もう花帆を失ってからだった。