その若者は東久志という。
今夜もまた天体観測をしている。
趣味であろうか?。
仕事であろうか?。
場所はマンションのベランダである。
推測は容易い。
仕事をしているとするなら、そこで行うハズはない。
何故?。
人それぞれの趣味がある。
夢もある。
久志の場合、どうにも目的は理解し難い。
どうやら気象予報士に成りたいようだが〜。
では、勉学?。
全く外れでもない。
本気で目指しているようだから〜。
では、その実体は?。
何の事はない。
平凡なサラリーマンである。
それに満足していないのか?。
そこに大きな問題がある…。
…しているのだ、平凡な毎日の仕事に〜。
では…。
難題である。
気象予報士〜目指して〜それが夢〜?。
〜ではないのだ。
久志の夢は途方もない。
およそ凡人の思慮分別の範囲にない。
名前を付けたいのだ。
何に…。
星だ!。
久志は新星を発見し、「ヒサシ」という名を付け、未来永劫に残したいのだ!。

その意味、久志の夢は限りなく野心に近い。
野心家?。
一見して、そうは見て捕れない〜。
平凡な〜何処にでもいる若者〜。
見ようによっては2枚目に近いかも…。
東久志…彼の夢は果たせるか…。