『短編集』


「ごめんね、お母さん。

チョコの箱をふんずけて、

渡せなくてさ」


私は、ちょっとだけ気が楽になった。

チョコをあげられなかったのはすごくショックだったけど、

お母さんに手伝ってもらったのに、そのチョコをだめにしてしまったことにも、

同じくらい罪悪感を感じていたから。


「あの時もそう言って泣いてたわよ」


お母さんは、懐かしそうに笑うと、

今度は一人でがんばりなさい、と言って、

洗濯物を取り込みにいってしまった。



・・懐かしいな。



すっかり忘れていたけど、見たらなんとなく思い出してきた。

私、ゆなちゃんが字を書けるって聞いて、必死に練習したんだよな。

ふと、広告の隅に、ミミズが這った様な小さな字を見つけた。



・・ん?なにこれ。