『短編集』


私の腕に埋もれた箱は、すごく小さくて軽くて、子供の足で簡単につぶれちゃいそうだ。

けど、それは、何よりも大きくて重くて、中身の詰まった大事な箱。


「ありがと、メグ」


私がメグにお礼を言うと、メグは笑って、おう!と答えた。




家に帰ってからも、私はその箱を何度も何度も手にとって見た。

真っ黒の箱には、キラキラのラメが入った濃いピンクのリボンがかかっていて、

開けるのがもったいない。

それでもなんとか中身を開けると、まるで宝石みたいにチョコがピカピカと光っていて。

私は、それを、飽きることなく眺めてしまった。

チョコをもらってこんな幸せな気分になるなんて、

思っても見なかった。



そうだ、メグにお返しの友チョコをあげよう!



10年間バレンタインから意識的に遠ざかっていた私は、

ごく自然に、何の抵抗もなく、そう思った。