思い切ってYES、って言えば、この状況から抜け出せる。

一人の私がそうささやくんだけど・・、

それを拒否するもう一人の私がいて。



どうしてだろう。

私、陸渡と別れたくないの・・・?



「正直に言うけど、絶対内緒だよ?」


私は念を押して、陸渡に花音のことを話した。

その瞬間、陸渡が私を抱きしめて・・・。



・・・え?なんで?



あまりに力いっぱい抱きしめられて、息が苦しい。

このまま死んじゃうんじゃないかと思ったとき、

陸渡の腕が緩んだ。



そのまま見詰め合うこと0、3秒。



「ママ~!このお兄ちゃんたち、ちゅ~するよ~!」


至近距離で、私たちを指差す幼児・・・。


「だめよ!こっち来なさい!!」


なんて、慌てるママの声。

目を合わせないようにして、ペコンと頭を下げられて・・。



ぎゃ~!!

こちらこそ恐縮です!!

こんな、公共の場所でぇ!