そうすると,先生はスタスタと歩いていった。







今,無性にあの背中を追いかけたい。

あの背中を逃したくない…!







そんな気持ちでいっぱいだった私は







「せんせいっ!!!!」







気がついた時には,もう,叫んでいた。




後先考えずに行動しちゃう私。






先生は,ゆっくりと振り返った。







でも…言いたいことがなかなか出て来ない。
頭が真っ白で。







「あのっ…ありがとうございました…」

ゆっくりとお辞儀をした。










一瞬,時が止まったようだった。











「こちらこそ,ありがとう。」


先生はそう言うと,片手を軽く上げて,笑顔で歩いていった。







何を言って良いか分からなかった。

もっと気の利いた事が言えたんじゃないのか…。


あとから後悔するのも,私の欠点。








でも…


あの笑顔,一生忘れない。











私の一生の宝物。












胸の中に,大事にしまった。