そんなあたしに、チャンスがやってくる。 「香奈実―っ職員室ついて来て!」 用事から教室に帰ってきたあたしに、千夏が駆け寄ってきた。 「え…なんで?」 「なんかこれ提出しなきゃいけなくて…だめ?」 そんな可愛らしく言われたら…あたしの母性本能が刺激されちゃうよ。 「しかたないなぁ…」 「わ―っい!」 ******* 「じゃ、待っててね。 失礼しまーーすっ」 元気よく入って行った千夏を見送り、くるりと向きをかえると、中庭が見える窓。 窓を開けると、気持ちいい風が吹いている。