VOICE・2



――数日後。俺は渋谷にいた。駅前のスクランブル交差点の見えるカフェ。その窓際のカウンター席に。

一応、目深にハットを被って目立たないように変装。

チラリと腕の時計にめをやると、午後2時を指すところ。

……もう来るかな。

俺はそっと店内を見回して、待っている相手を捜す。けど、まだその人物の姿は見当たらなかった。

はぁ…と短い溜め息が出る。

なに緊張してんだよ俺。

そう自分で自分を笑って、コーヒーに口を付けながら目の前のガラス越しに外を眺……。

「ぶっっっ!?……っげほっ!!」

突然変な声を出し噴き出した俺の横、座っていた女がキャッ、とか言ったけど、それも気にする余裕もなく俺は目を丸くしていた。