――数日後。俺は渋谷にいた。駅前のスクランブル交差点の見えるカフェ。その窓際のカウンター席に。
一応、目深にハットを被って目立たないように変装。
チラリと腕の時計にめをやると、午後2時を指すところ。
……もう来るかな。
俺はそっと店内を見回して、待っている相手を捜す。けど、まだその人物の姿は見当たらなかった。
はぁ…と短い溜め息が出る。
なに緊張してんだよ俺。
そう自分で自分を笑って、コーヒーに口を付けながら目の前のガラス越しに外を眺……。
「ぶっっっ!?……っげほっ!!」
突然変な声を出し噴き出した俺の横、座っていた女がキャッ、とか言ったけど、それも気にする余裕もなく俺は目を丸くしていた。



