広いライブハウスを満たす歓声の中、ショウが姿を現しますますそれは大きくなった。
チラリと視線を交わし、タイミングを図る。
瞬間、打ち込みのドラムのカウント。
―――3、2、1
ガンッッ!!
殴りつけるようにピックを弦に振り下ろした。
この最初の音がたまらない。
俺、この一音の為にライブやってるような気も、する。
スタートの勢いのまま、失速することなくハシる音は、目の前にいるオーディエンスたちに襲いかかる。
ギターだけじゃなく、ショウのベースも彼らの腹に、胸に、ダイレクトに振動を伝えた。
その瞬間、アップテンポでハシるメロディーを喰うように、まだステージに姿のないボーカリストのシャウトが響いた。
――お。今日の声、いつもの何倍もイイ。
ニ、と思わず唇を弛ませた俺の視線の先。
ライがさらに膨れ上がった歓声を浴びながら姿を見せた―――。
今日はイイライブになるんじゃねぇ?!



