VOICE・2


――30分程すると相変わらず仏頂面のままのライが戻ってきた。
ずかずかとプロデューサーの前まで行って、これまた無愛想な声でボソボソ言った。

「…俺の歌録りまだ?」

「ん?じゃあ今録ってるショウが終わったらやろっか~」

先程キレて暴言吐いたボーカリスト相手に、中野は全く気にした様子もなくサラリと答えた。

「……歌うんだ、あの歌詞?」

レコーディングスタジオの卓の後ろ、ソファに沈んでギターを弄ってた俺は、隣に座り込んだライに声を掛けた。

「俺が詞ぃ書いたってどうせ納得しねぇんだろ?ココにいる奴らは」

舌打ちをして、ライはポケットから煙草を取り出した。ラッキーストライクのロゴが見える。

「あれ?ライ、煙草変えたの?」

「女がうるせぇんだよ、前の煙草は匂いが嫌いだってさ」

フッと鼻で笑ってから、テーブルの上にあったマッチに手を伸ばし、火を点けた。ふわり、マッチの燃える独特の匂いが鼻を掠める。

俺はこの匂いが好きだ。

「ん~いい匂い!」

「おっまえ匂いフェチだよな。しかも変な匂い」