「タ、タキさん!?帰るなんて言わないでくださいよ!ライブどうするんですか!?」
櫻井が今度はライじゃなく俺の腕をがっちり掴む。
いってぇ!マジいてぇコイツ!
尚更ムカついて、俺はまた言ってしまった。
「うるせぇ、俺はライに言ってんだ。コイツが金輪際、彩都のことでグダグダ言わねぇ、って言うなら別だ。けどな、一年半もの間マトモな歌詞も書けない、一人でいじけてる、勝手に一人で責任感じてますって顔して……結局自分にストレス溜めて女遊びして、……もう我慢の限界だね。やってられるかよ、こんな情けねぇメンバーがいるバンドなんて」
「タキ……」
流石に言い過ぎたか、とも感じたものの、俺は後に引ける雰囲気でもなくて、櫻井の腕を振り払い楽屋のドアまでツカツカと大股で向かった。



