にっこり。爽やかな笑顔になったショウはスタスタと楽屋の隅にあるソファへと歩いて行ってしまう。
「は…?何だよてめぇっ!意味わかんねーよ!」
ライがなおも叫べば、すっかり興味を無くしたように煙草を吸い始めたベーシストは、チラリと視線だけをこちらに寄越した。
「彩都の分も頑張るんだろ?だったらアイツとそっくりの奴見たからって動揺してないで、アイツのために、アイツのやりたかった音楽をやれって言ったの。分かるか、ガキ?」
……なるほどね。
ライじゃなく、俺が先に頷いてしまった。
「………」
黙り込んだライに、再びニヤリと笑ったショウが声を掛ける。
「分かったか、って訊いてんですけど?聞こえませんか?ガキんちょ」
「…っ、うるっせぇ!ガキガキ言うなボケ!!2つしか年違わねーくせに!!」
真っ赤になったライが怒鳴れば、ショウが笑い出した。
あ。いつものライだ。
性格悪いよなぁ…ショウも。
「っていうか泣いてねぇし!全然泣いてねぇし!!」
思い切り否定するライに、俺と櫻井まで笑い出してしまった。



