その時。楽屋のドアが静かに開いて、ショウが戻って来た。
「オマエら声デカい、考えろよ」
つかつかとライの方へ近付いて、その顔を覗き込む。
そして意地悪そうな笑みを浮かべ、口を開いた。
「そんなに責任感じてんだったらさっさと辞めたらどうだ?」
「……てめぇっ!!」
「やめろって!!」
ガタンと椅子を鳴らして立ち上がったライを、俺と櫻井が慌てて押さえる。
「いつまでも悲劇のヒロインみたいに、涙浮かべて泣いてるような情けねぇボーカルなんて、いらねぇんだよ」
さらに挑発するかのようなショウに、ライはさっきまで泣きそうだった顔を怒りに染めている。
「ふっざけんなよ!誰がヒロインだ!簡単に辞めてたまるか!!俺は……アイツの分までココでやるって決めてんだよっ!!」
今にも殴りかかっていきそうなライを押さえながら、ショウにひとこと言おうとした瞬間。
「よし、ならいい。今日のライブ、ちゃんとやれよ」



