「ほら、水飲め、ライ」
ドンッ。
わざと大きな音をたてて、ペットボトルをテーブルの上に置いた。
呆然と椅子に座ったライの瞳は動かない。
「……チッ…」
舌打ちをして、俺はその耳に口を近付けてもう一度言ってやる。
「ラーイ!!み・ず!!」
「…ッ!?」
ビクッと体を揺らし、ライの瞳が動いた。
そして俺の方へゆっくりと顔を向ける。
……あ~ぁ、重症。
まるで幽霊でも見たみたいに、色のない顔してやがる。
「大丈夫か?」
俺が問い掛けると、ライはせわしなく目線を動かして、口を開いた。
「……タキ、アイツが…サイトがドラム叩いてたんだよ…アイツ、もう叩けないって言って……なんでっ…」
やっぱり。あの珪甫ってヤツと彩都が同じ人間だと思ってやがる。
俺はライの頬をギュ~ッと抓ってやる。
それでもボーッとしたまま反応しない。



