俺は目の前のPRISONERの演奏にばかり気を取られて、ライのことなんて忘れていた。
「……サイ、ト?!」
その声が耳に届いた時には遅かった。
ライは、誰の目にも分かる程に動揺していた。
目を見開いて、唇を震わせ、珪甫の姿を見つめている。
……ヤバい。
ライの顔色は暗い所でもわかるくらい青ざめていた。
「櫻井、ライ、楽屋に連れてくぞ」
「は、はいっ!」
俺は櫻井と一緒にライの腕を掴んで、ステージから遠ざかった。
━━だから見せたくなかったのに……。
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