そのオトは俺の耳から心臓まで一気に襲いかかってきた。
少し離れてるこの楽屋にいたって分かる。
……ハンパねぇ。
こいつらホントにインディーズバンドかよ!?
そう疑いたくなる程の演奏。
「ショウ…こいつら……」
思わず室内を振り返ると、いつの間にかショウは俺のすぐ後ろにまで歩み寄っていた。
その顔が驚きの色に染まっている。
たぶん、俺も似たような顔してんだろうな。
そう思いながら、ショウに声を掛けた。
「……行くか?」
「……あぁ」
浅く頷いたショウは、くわえていたマルボロメンソールを近くの灰皿に放り出した。



