VOICE・2


「ライさん!PRISONERの前座始まりますよ~!歌夜ちゃん、めっちゃ可愛いです!」

煙草を買いに行かせた櫻井が帰ってくると同時に満面の笑みでそう告げた。

「マジか?!見てぇかも!」

ライがソファから勢い良く立ち上がった。

………こんの…ボケマネージャーがっ!!

チッと舌打ちした俺をショウが横目で見てきたが、何も言わずにまた視線を戻した。

「ちょ、ライ!わざわざそんなバンド見に行かなくたっていいだろうが、たいしたことないだろ?オマエは自分のライブの準備しろよ」

慌てて引き留めようと声を掛けた俺を、ライは訝しげな表情で振り返った。

「はぁ?別に準備なんてもうないだろ?俺はあの女が見たいの。じゃあな」

「ライっ!!」

「行かせたら?ショック療法になるかもよ」

ぼそりとショウの声が隣から聞こえた。

「ショック療法ってオマエ……ライにはキツすぎだろうが。この後のライブに影響したらどうすんだよ?」

呆れてそう問い掛けた俺に、ショウはあっけらかんと答えた。

「別にいいだろ」