VOICE・2






――午後6時。開場時間を知らせるスタッフの声に他の奴らも慌ただしく動き始めた。
俺達はヘアメイクも済んで衣装も着て、後は前座のアイツらがライブし終わるのを待つのみ。

「あ、煙草が切れた。ねぇ櫻井、買ってきてよ~ロビーに確かあったっしょ、自販機」

「あ、はい。タキさんは…セーラムでしたっけ?」

「残念、俺はパーラメントでした。ま、メンソールじゃなきゃなんでもいいよ」

俺はそう言って櫻井を送り出し、チラリとライの様子を盗み見る。
相変わらず音楽を聴いたままソファに深く沈み込んでいた。

そのままそこにいてくれよ……。

俺は心の中でライに願った。










しかし、その願いはむなしくも叶わず……。