なんで分かってんだ、この人?!
よっぽど俺たち、驚いた顔してたんだろう。中野は穏やかな口調でまた口を開く。
「僕はね、今まで君たちのプロデューサーという形でクリスカを見守ってきた。正直、サイトくんが脱退してからの君たちの音楽に対するモチベーションはことごとく下がってた」
グサリ。
彼の台詞が俺の胸に刺さるように響いた。
自然と顔が下を向いてしまう。
「このままじゃ駄目だと思ったよ。……だから、僕は君たちが自ら、自分たちの作った曲や歌詞で勝負したいと、他人に与えられた歌詞やメロディーなんかやりたくないと、そうはっきりと思ってくれるまではとことん君たちの曲をいじってやろうと思ってた」
……驚きで声が出なかった。まさか目の前にいる彼が、そんなこと考えてたなんて全然知らなかったから。
俺たちの曲、勝手に作り変えて、ライの歌詞までも取り上げてた人が……?



