チラッと紅志に視線をやってから、それでも俺は単刀直入に言っておくことにした。

「うちのボーカルが、あんたのこと狙ってる。フリーだってバレたら余計にヤバい。気をつけないとすぐ喰われるよ」

「な……っ!」

歌夜が目をまん丸にして驚きの顔を見せた。

おもしれぇ顔するなぁ。

「それ本当に?!」

意外にも声をあげたのは紅志ではなく海斗。
その目が真剣なうえ、怒りを含んでいるのを俺は見逃さなかった。

……複雑な原因はココにもあるわけか…。

3人3様に難しい顔をしたり面食らっていたりで沈黙した楽屋の中、俺は1人足りないことに気付いた。
今更だけど。

「な、ドラマーは?ついでだから挨拶くらいしたいんだけど」

「え?あぁ、ケイなら今ちょっと外に…」

と海斗が口を開いた瞬間。



ドゴッ!!



「いっ!?いってぇ~!!」

マジいてぇっ!!