VOICE・2



テレビ局をあとに、俺たち3人を乗せ櫻井の運転する車はレコーディングスタジオへと向かった。

「なぁ櫻井、オマエ本当に何も知らないの?」

疑わしい目つきで問い掛けるライに、バックミラー越しに櫻井は苦笑を返した。

「はい。僕は中野さんから連絡もらっただけで……、用事がなんなのかは教えてくれませんでした」

「ふ~ん……」

いつものように口を尖らせ、唸るライの横顔を眺めながら、俺はぼんやりと考えていた。
東條のことを……。

って別にヘンな意味じゃねぇよ!?

アイツなにモタモタしてやがるんだ、って。そう思ってたんだ。
それからふと思い付いて、ライに向かって口を開いてた。

「なぁ、ライ。次の新曲、オマエが歌詞書けよ」

「は……?」

目を丸くして俺を見返すボーカリストの視線を、俺は正面から受け止める。
一瞬、ライの顔が苦しそうに歪んだ。