彩都のあの言葉は、もしかしたら他のファンの声でもあるのかもしれない。

そういえば、あの男にも見破られてたよな、とライブ前に裏口で会ったヤツの顔を思い出して、思わず舌打ちが漏れた。

「タキ?」

俺が顔を顰めたのを見て、ショウが怪訝な顔をする。

「いや、何も。……なんかさ、情けないなぁ、と思って。俺たちのオリジナルの音楽を沢山の奴らに聴いてもらいたくて、インディーズで頑張って、メジャーデビューして。ここまで来たのにさ」

口が勝手に動き出していた。止まらない。

「結局さ、CDになったりネットで配信されたりしてんのは、借り物の歌詞とまがい物の音。こんなんで妥協してる自分がさ、なんか……急に嫌んなってきた。ってかめっちゃくちゃ嫌だ!!嫌だろオマエらも?なぁ?!」

最後は叫んでた。

なんか、俺の頭の螺子、一本トンだみたいだ。

目を丸くして俺を見るライと、逆に目を細めて煙草を吸ってるショウの視線。
それを感じながらも俺は椅子から立ち上がって、テーブルを両手で叩いた。