「あぁ~~~っっ!くそっ!!」

「?!」

彩都がいなくなった後の楽屋でライが突然大声を出したから、驚いた拍子に火の点いたままの煙草を床に落としてしまった。

ったく、急に大声出すんじゃねぇっての。

「何だよ、いきなり?」

慌てて床に手を伸ばしながらライの方へ視線をやれば、見るからにふてくされてる様子のヤツの顔がそこにある。

「アイツムカつく!!」

「アイツって……」

「サイトに決まってんだろ!あの野郎、自分の言いたいことだけ言って、さっさと帰りやがって!」

そう言いながら頬を膨らませているライの様子は、いつもと変わらない、わがままなガキのライだった。

なんだ。意外と元気じゃん。
ライのことだからもっとメソメソするかと思ってたのに。