彩都は少しだけ眉を動かし、視線をライから俺に向ける。

光の反射か、一瞬その瞳が濡れているように見えたのは気のせい……?

「それを俺に訊くのかよ?!オマエらのやりたい音楽はオマエらがやるしかねぇじゃん。俺が何言ったって……俺は、今更関係ねぇだろうが……」

……その時、気付いた。

俺……今更……馬鹿じゃねぇ?

ライじゃないけど、自分で自分を殴り倒したくなった。

ドラムを叩けなくなって、バンドを抜けた彩都には……どんなに願ったって、俺たちの音を受け取る側でしかいられない。
例えばその音が自分の理想としていた道から逸れて、望みもしないそれだったとしても。

彩都は手をこまねいてるしか、傍観者って立場でしかいられない……。

俺たちの今やってる音楽は、彩都を失望させ、裏切ったんだ。

……それに、やっと気付いた。





遅すぎるだろ、俺……。